写真の芸術性

写真集

岡倉天心の「写真」に関する論を用いて鍵岡正謹氏は次のように述べています。「天心は『実存』をすべて『心の仮象』だと把握しながらだからこそ実存を写し取れるものが、光の美術である写真ではないかと。」天心は、東京美術学校(現在の東京藝術大学)の設立に関わっています。また、明治期から写真の芸術性に注目し、写真を「光の美術」という言葉で表現するところも明快ですね。

実習班として2年間共に歩んだ松下廣臣くんにより写真集が編纂されました。2年前に彼の風景写真を初めて見たときに感じた純粋性は今もそのままです。その後も旅を続け、ついに日本一周を果たしました。日本全国を旅した彼のみた景色や感動が伝わってくる写真集です。純粋な好奇心から生まれた作品は、気韻生動を帯びています。もちろん、写真技術の修練もあるでしょう、しかし景色や天候にも愛されているのでしょう。万感の想いが詰まった写真集は宝物になりそうです。

©︎松下廣臣写真集

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