第56回日本版画会展 奨励賞

版画といえば木版画を想起する方も多いと思いますが、わたしが用いる技法は2種類の版画技法を併用し、加えて銀箔を硫黄で焼く技法に挑戦しています。まず、版画技法について概説します。
1種類目はシルクスクリーン(孔版)といわれる技法で、日本では型染め(紅型染)などと同種の技法です。2種類目はサイアノタイプという技法で、版画技法の一種ではありますが、特殊な溶剤を使用しなければならないことや、色が青の濃淡でしか表現できないこと、様々なことが要因し、今ではこの技法を使用する作家はほとんどみることがありません。
サイアノタイプで表現する青の諧調、シルクスクリーンで刷る鮮明な色彩(わたしの場合は一版多色刷り)、銀箔を焼くことで生まれる色合いの変化、このように異なる技法を組み合わせることで、表現の可能性はまだまだ拡張するものと考えています。
次に作品のタイトルでもある「魚群図」ですが、なぜ魚なのかというと、魚は中国では吉祥のモチーフであり、古来より縁起物として様々な魚をモチーフにした美術品が存在します。わたしはその中でも魚という文字に注目し、金文編に編纂される魚を抽出することにしました。文字の象をコンピュータに取り込み、大小様々に羅列するイメージをデザイン化しました。

第56回日本版画会展 奨励賞